1 住宅ローンが通らない!

 

ついに購入を決断したので、いざ銀行へ住宅ローンの申し込みに行きました。

信用金庫とは、事前に中古住宅でも融資しますよ!と内諾をもらっていたので心配なし。

 

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幸いにも、建築確認書と図面が残っていると、なぜだか優良物件に思えてしまうのが不思議です。

ところが、開けてびっくり 銀行からは融資ができないとの返事だったのです。

 

・融資の対象は、土地の代金×80%だけでした。

・つまり、リノベーション費用をまとめて1本の住宅ローンにできない

・別口でリフォームローン(無担保)を借りてください。

・リフォームローンは、上限500万円です。

 

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500万だと、水回り設備を交換して、オール電化にするぐらいです

つまり、最低限のリフォームで、しかも2重ローンで割高になってしまうのです。

 

この時、2010年。この頃はこれが普通の銀行の対応だったのです。

今では、中古住宅分&リフォーム費用を1本にまとめてくれる銀行もあります。

私たちの時は、ほんとうに大変でしたので、うらやましい限りです。

 

1-1 住宅ローンは土地代だけ

 

土地代の80%を融資するというのが、信用金庫の査定でした。

つまり、担保が確実に足りると判断できる分しか融資できないというわけですね。

担当者がポツリとこんなことをつぶやきました。

 

「建物を建て替えてくれればね、いくらでも融資できるのに・・」

 

建物なんて、15年もすれば評価はゼロになります。

ところが住宅ローンは30年ぐらいの長期になります。

住宅ローンは、厳密にいえば、融資を開始した瞬間から担保割れになります。

 

それでも成り立っているのは、誰もがきっちり返済するからです。

返済が完了しなければ、自分のものにはなりません。

つまり、所詮、「座って半畳 寝て一畳」 住宅は借り物なのです。

 

お天道様から、家と場所を借りているだけのことです。

 

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困って相談したのが、お世話になっている建設会社の営業マンで、学校の先輩。

先輩とは、何回か仕事していたので、私のリノベーションの実績は解っていました。

先輩は、大手建設会社なので地方銀行と付き合いがあり、銀行に聞いてくれました。

 

「リノベーションした建物にも担保設定することで、融資の上積みできないか」

 

すると、銀行の担当者がうれしいことにこんなことを言ってくれました。

 

1年でも長く、1円でも多く融資できた方がいいですよね」

 

相談をした先輩と銀行の担当者との付き合いで、ほぼOKだったのです。

ほんとうに感謝感謝です。

 

1-2 車のローンは完済すること

 

せっかく先輩に紹介してもらった地方銀行でも、土地代の100%まででした。

リノベーション費用は、自己資金1000万円を使うことにしました。

ところが、銀行からもう1つ融資の条件が付きつけられました。

 

車のローン残金を一括で完済することでした。

 

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ところがさらにここから目減りします。

 

土地の登記が移転した瞬間から、ローンの返済が始まります。

 

でも、リノベーションはこれからなので、当然、2か月は今までの借家住まい。

家賃とローンの2重支払いとなります。

 

そして、借家の退去に伴う清算処理と引っ越し費用で10万円

不動産取引の諸経費 60万円

テレビに冷蔵庫 家電品の買い替えなどで、30万円

 

あっという間に100万円近くが消えていました。

 

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1-3 工事代金の支払いはどうなるのか

 

普通で行くと、工事を始める時に着手金が2割ぐらいは請求されることでしょう。

私の場合は、自分自身がリフォーム会社なので、会社の運転資金で立て替えたので

工事の着手金・中間金の心配はいりませんでした。

 

ただ、一般的には着手金は、自己資金の中で支払うことになります。

自己資金がない場合は、「つなぎ資金」という名目でローンが必要になります。

新築の場合なら、銀行もスムーズに融資をしてくれます。

 

ところが、中古住宅となると難しくなると思います。

 

みなさんが実際にリノベーションをする際には、工事会社ともよく資金相談をしてください。

工事期間が短く済むようなら、工事会社の運転資金に甘えさせてもらうのが良いですよ。


3 申し込みは、見積と図面が必要です

 

まわりの方達に何とか助けてもらえ、住宅ローンは対応できました。

ところが、ここからもう1つ大きな処理があります。

それは、融資の申し込みの段階で判明しました。

 

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住宅ローンの申し込み手続きには、

「リノベーション後の図面と見積書が必要です」

 

まだ、売り主は住んでいる状態で、詳しく建物の状況を見ていないし

どんなリノベーションをするかも、夫婦で話し合える状態ではありませんでした。

そンな状況であることは銀行の担当者も当然、知っています。

 

考えてみれば、当たり前と言えば当たり前です。

銀行の担当者は、融資金額の根拠を説明する見積がなければ、稟議書が書けません。

図面が無ければ、見積はできないので、当然、図面も必要です。

 

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とにかく、図面と見積を作成しなければ融資申し込みができないのは明白でした。

とにかく作成するしかないのです。大至急作りました。

助かったのは、私自身が工事をするので、方針さえ決まれば概算見積は作成できます。

 

あとは、工事内容を分類することでした。

 

1 やらなければいけないこと

2 やりたいこと

3 構造上できないこと

 

は時間が経過しても変えられない事実なので、簡単に仕分けできます。

は、全体予算から1の見積を差し引けば、掛けられる予算が出ます。

こう考えると、意外に簡単で1週間で書類を作って提出することができました。

 

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私は自分自身がリフォーム会社を経営しているから、割と簡単に対応できました。

しかし、一般の方の場合は、工事会社に頼むしかありません。

購入の段階で、工事会社は選んでおかないとなりません。

 

しかも、工事会社の担当者には、高い経験値が求められます。

工事会社を選ぶにあたって、求められる経験値を上げてみました。

一番大切なのは、たとえ図面がなくても、下記の項目に対応できることです

 

・建物の構造を、見た目から推測できる

・できない工事を見極め、具体的にその理由を説明できる

・新築よりも改修工事の経験を多く経験している

・現場で予測して見積することができる経験

・水道、電気などの協力業者も同等の改修経験をしている

 

しかも、この資料で融資金額が決まってしまうことになります。

実際にかかる工事金額に対して、1割増しの見積を作成してもらってください。

あくまでも、ローンを申し込むために使用する見積です。

 

実際の工事金額は、詳細な打ち合わせの上で、改めて作成してもらいしょう。

1割増しのつもりが、あとから足りなくなることが無いように注意してください。

余った融資は、繰り上げ返済すればいいのですが、足りないのは困ります。

 

別口でリフォームローンを借りるほど、馬鹿らしいものはありませんからね。


4 1年でも長く、1万円でも多く借りる

 

住宅ローンの賢い借り方


 

住宅ローンはどう借りればいいのでしょう

年齢や年収、返済額も返済年数も人によっても変わります。

特に子どもの人数が増えれば、教育費で家計も大きく変わってしまいます。

 

私自身も「もっと早くに家を替えべきだったかなぁ」と強く思う時がありますね。

私の場合、40代後半で購入しているので、返済額も多く、返済期間も短い。

それでも、銀行の支店長のお陰で本当に助かりました。

 

その時に言われたのが、

1年でも長く、1万円でも多い方がいいでしょう」

 

どうして、銀行はこんなフレーズをいったのでしょうか?

 

最近のローン(変動金利)の金利は、1%を切っています。

住宅ローンの利息は過去最低の低金利ですから、利息負担は小さくなりました。

しかも、金利が上がる気配はなく、低金利が今後も続くでしょう。

 

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金利よりも心配なのが、経済状況の先行き不透明感です。

 

 ・ボーナスは出るのか?

 ・そもそも会社は大丈夫なのか?

 ・この先、給料は上がるのかな?

 ・年金も当てにできないから、定年までには完済しない・・

 

こんな不安があるので、できれば60才までには完済して

老後の資金を早めに準備したい、と考えたくなりますね。

 

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例えば、35才 借入3000万円 金利1%固定 30年返済 とします。

月々の返済額は、9.7万円 となります。

総返済額は、9.7万円×360回=3492万円

3492万円-3000万円=492万円が、利息となります。

 

このローンを、35年の返済期間で借りるとどうなるでしょうか?

月々の返済額は、8.5万円 となります。

総返済額は、8.5万円×360回=3570万円

3570万円-3000万円=570万円 利息となります。

 

返済期間が5年延びることで、利息が78万円増えたことになります。

しかも今、35才。完済するのが70才なのか・・

不安になってしまいますよね。

でも月々の返済額は、1.2万円少なくなって、8.5万円です。

 

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ところが銀行の支店長は、こう言っていました。

1年でも長く、1万円でも多い方がいいでしょう」

 

その理由が分かりました。

 

1 この先、金利が上がることはないと判断している。


 

都市銀行、地銀には、日本銀行から資金はいっぱい入っていきます。

昔のように定期預金を集める必要はありません。

ゼロ金利政策どころか、マイナス金利という時代ですからね。

金利が上がらないなら、長い間借りているほうが得になります。

 

2 住宅ローンの金利は、1%以下になっている。


 

変動金利型であれば、0.8を切った金利で借りている人もいます。

こんな低い金利で借りられるローンは、住宅ローンだけです。

 

夫婦でお金を貯めることができるのは、子どもが小学生の時期です。

ここからたった6年で、大学生を迎えます。

教育資金を考えたら、100万円/年 頑張って貯めてください。

 

100万円を繰り上げ返済に回す余裕などありません。

貯金は、利回り1%以上の金融商品で運用した方が得です。

 

3 教育ローンの金利は、3~4%です。


 

なぜ、繰り上げ返済に回す余裕がないのでしょう。

それは、子どもの教育費です。

例えるなら、住宅をもう1棟買うのと同じくらいだと思ってください。

 

子ども2人が大学に行って1人暮らしとなれば、2000万円です。

大学に行くためには、予備校や学習塾に行きます。

その額、100万円/年はかるく掛かります

 

予備校から受験、大学卒業 2人で2500~3000万円

我が家は、子どもが3人ですから、頭が痛いです。

ほんとうに、少子化になるわけだと、痛感するような現実ですね

 

ところが、教育ローンの金利は、平均3~4%です。

大抵は、無担保で、500万円が借入限度額となります。

住宅ローンが残っている世帯にとって、無担保なのはホッとしますね。

ただ、問題は金利が3~4%だということです。

 

子ども2人で、2000~2500万円

500万円×2人=1000万円、残り1000万円が足りなくなります。

住宅ローンの繰り上げ返済に回す余裕は、正直、厳しいと思います。

 

4 住宅ローン特別控除の恩恵を無駄なく受ける


 

特別控除は10年間、年末のローン残高の1%が戻ってきます。

住宅ローンで支払う金利0.7%、もらえる控除1%

さあどっちが得ですか? まさに低金利時代の恩恵です。

 

5 35年間という期間があるから、安心できる

 

アパートであれば、当然、家賃が発生します。

定年退職しようが、生活保護を受けていようが、家賃はあります。

つまり、定年退職後も家賃ぐらいローン返済があってもいいのです。

金利がもったいない!と繰上げ返済すれば、預金が無くなります。

繰上げ返済した家族と、貯金している家族を比べてみましょう。

 

Aさん家族 : 貯金 0で、ローン残高 1500万円

Bさん家族 : 貯金 1500万円  ローン残高 2000万円

 

私は、Bさん家族の方が気持ちにゆとりがあると思います。

いつ何があるかわからないですから、手持ち資金は残しておきたいものです。

 

6 団体信用生命保険の安心を有効利用する


 

この保険で、もしお父さんに何かあったら、住宅ローンは消えます。

ローン残高は、すべて保険が払ってくれることになります。

最近では、割高ですが8疾病保障付というローンも出ています。

 

今の低金利では、金利負担の損得で判断しない方が得です。

長い期間を借りて、何かあっても保険で対応してもらう。

手持ちの預金を増やして、教育資金に備えるのが得策でしょう。

 

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この生命保険がうまく機能した20年前の実例をご紹介します。

 

あるご夫婦がマイホームを建てました。

早く返済する方法として、奥様にこんなアドバイスをしました。

 

  ・共働きができるうちは、がんばって働いてくださいね

  ・生活を切り詰めれば、年間100万円の貯金を目標にしてね

  ・100万円貯まったら、繰り上げ返済していくんだよ

 

じっさいに、奥さんはこの通りに素直に切り詰めていました。

ただ1つだけ、守らなかったことがありました。

それは数年後に発覚しました。

 

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突然 ご主人が病気で亡くなってしまいました。

当然 住宅ローンの支払い義務もなくなりました。

 

なんと奥さんは、繰り上げ返済をしていなかったのです。

 

単純にお金だけのことを考えれば、得をしたことになります。

ところで切り詰めた生活で貯まった貯金はどうなっていたのか?

奥さんは、繰上げ返済の意味が分からず、定期預金にしていました。

 

結果、ご主人が亡くなるという不幸なことがあったのですが

お金に困ることなく、今も生活ができています。