リノベーション やってみなけりゃわからない

 

築50年の家 リノベーション大作戦!

 

中古住宅だから味わえる、マイホームへの愛着

 

この家を始めてみた時は、とにかくビックリしました。

 

まったく手入れされていない

ジャングルのように伸び放題に伸びた植木と雑草

そこいらじゅうに置かれた蚊取り線香

まさに、ジャングルの中の廃墟

 

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このボロいコンクリートの建物が、私たちのマイホームです。

 

・昭和38年 築53年のコンクリートブロック造の家です

・124坪の土地

・ガラガラと動く鉄製サッシ

・玄関は、大きなガラスがはまった木の引き戸

・いたるところに蚊取り線香が置いてある、荒れ放題の庭
どんな人でも、こんな家を買うなら建売を買った方がましだと思います。
確かに立地は交通の便もよく、静観な住宅街で、ママの実家にも近い。
近所の方も、『住むには本当にいい場所なのよ』と太鼓判を押してくれます。
ジャングル見たいけれど、確かに住みやすい場所なのでしょう。
でも、実際にこの荒れ放題の土地を前にすると、耳にも届いてきません。

それに、もう1つ大きな問題がありました。

それは、124坪の土地を買うと、建て替えに回せる予算はないことでした。

この家をリノベーションして再利用するしかありませんでした。

 

すると長男からこんなことを言われてしまいました。

 

「なんでこんな家を買うんだよ!また、ぼろい家じゃないか!」

 

さらに、私の同級生からも、『建て替えたら・・』と言われました。

 

なんと言われようとも、私には素敵な家に変身できる自信はありました。

 

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我が家のリノベーションは、元の家の趣がそのまま生かしています。

TVのように、跡形もなく作り替えるようなことはしていません。

 

10年もすれば、子ども達は巣立ち、夫婦2人だけの生活になります。

物の少ない、簡素な生活をしたいので、古い物を手直しすれば十分です。

古い物を大切にして、愛着と趣のある家に住みたいと思いました。

古い物を生かした、自然と愛着が湧いていくるリノベーションです。

 

《マイホーム リノベーション大作戦≫ をご覧ください。


1 やっておくべき工事

 

1-1 外壁の塗装と、屋上の防水メンテナンス

 

おそらく、50年間一度も塗り替え工事をしていなかったようでした。

日の当たらない北側で、隣のとの境界線側なのに、この状態です。

見た目では外壁そのものもしっかりとしているので、問題はありません。

 

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一度もメンテされていないような状態


 

塗ってあった塗料は、そのほとんどが触ればめくれる状態でした。

屋根の緑の帯は、おそらく建築当初の塗装でしょう。

ただ、外壁そのものは、ひび割れもなくしっかりしています。

塗り替えするだけで、見違えるほどに綺麗になるはずです。

 
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After
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外壁を塗り替えたいのですが、とにかくやることが多い。

家の周りの生い茂る樹木を伐採、抜根するだけでも大仕事。

置き去りにされた脚立や椅子 不燃物の片付けも大変な作業です。

 

とにかく片づけないことには、足場も立たない状況でした。

 
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After
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予算を節約するために、足場は必要最低限の面だけに設置しました。

 
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After
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屋上には、コンクリート製花壇、鉄パイプの手すりも錆びだらけ

花壇を撤去して、ぼろぼろの雨樋を交換し、手すりのさび落とし

鉄のパイプ手すりと、鉄製はしご、 対候性に強いグラファイト塗装にしました。

 
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After
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外壁全体は、薄いクリーム色に塗りました。

クリーム色にした理由は、玄関に張ったグレー色のタイルとの色合わせです。

 

そして、建物の柱型、屋根の帯、玄関の門柱にはアクセント塗装をしました。

小豆色の砂粒を吹き付けした、SK化研の《エレガンスストーン》です。

御影石のような高級感で、みごとに生まれ変わりました。

 

1-2 床を解体して、防湿コンクリートを打ちます。

 

初めてこの家を見た時から、気になっていたことが1つありました。

それは、床と庭の段差が少なく、地面が近いなぁと思ったことです。

一般的な家の基礎が高さ40cmなのに対して、半分の20㎝の高さでした。

 

この土地は巴川の近くにあるためか、土は川砂、砂浜のような細かい砂です。

井戸の水面も浅いので、湿気があり、写真でも土が黒く湿気ているのが分かります。

そのため、湿気対策としてコンクリートを打設しました。

 
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After
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元の床は、40個の丸い束石が90㎝角の格子状に置いてありました。

この石の上に束を立てて、床の大引きを並べ、根太、フロアーが仕上がっていました。

コンクリートを打設するためには、まずは石を運び出さなくてはなりません。

 

石を持ちあがて、壁際へと歩いていくと、ズボッと足元に落とし穴。

それも、窓際を歩くたびに、ズボッズボッと地面が陥没するのです。

なんとモグラの巣がいっぱい、穴だらけの地面だったのです。

 

仕方がないのでスコップで巣をつぶし、防湿コンクリートを打ちました。

 

1-3 スチールサッシをアルミサッシに変えました。

 

ガラガラと音を鳴らしながら動く、鉄製のサッシ。

隙間だらけの網戸、風が吹けばガタガタうるさいのが鉄製サッシです。

 

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欄間付き 隙間だらけの網戸付きサッシ


 

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リビングのサッシ ペアガラスに変身です


当然 アルミサッシのペアガラスに交換しました。

今では手に入らない鉄製サッシ ちょっともったいかな・・と思いましたが

隙間風もひどく、あまりに不便なので、交換となりました。

 

欄間をやめて、全体の高さでサッシを作り直したら、大きなサッシになりました。

今時の窓と変わらない高さで、解放感のあふれる窓になり、大成功でした。

 

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昔ながらの 引き違いガラス戸


さすがにこれでは、防犯どころではありません。

ただ、南に面した1日中ずっと陽が差し込み、とても明るい玄関でした。

両袖にガラスをはめ込み、陽の光が差し込む明るい玄関ドアに交換しました。

 

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漆喰が映える、白い玄関


陽の光が白い漆喰に反射して、とても明るい玄関になりました。

 

 

1-4 お風呂・トイレ・キッチンの配管設備の交換をしました。

 

すべての給水・給湯管、排水管は新しいものに交換します。

道路脇の水道メーターから新しい水道管に交換し、排水管も交換します。

キッチン・トイレ・浴室は新品に交換し、お湯もオール電化となります。

床が解体されたこの時しか、配管の交換はできません。

 

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トイレとお風呂になります


 

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こんな納戸のゴミも片づけて、床をめっくて、新しく水道の配管をやり変えます。

そして、この場所が新しく独立キッチンに生まれ変わります。


なんと なんと お風呂の排水管は土管。土管ですよ。

 

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初めて、実際に使われている土管の配管を見ました。

当然 全面改修です。

 
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After
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この雑然とした納戸を独立キッチンに変身させました。

そうすれば、LDKがDK&独立キッチンに分かれて、DKが広くなります。

5人家族で乱雑になりやすいキッチンが、ドアを閉めれば隠せるのは重宝します。

 
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After
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足が延ばせない小さな風呂桶、冷たいタイル張りの床と壁

借家で味わった寒い風呂と同じ、冷たい思い出のお風呂です。

さすがにこれは、ユニットバスに交換です。

 

テレビが大好きで、お風呂になかなか行きたがらないかった子ども達

今回、奮発してお風呂にテレビを取り付けしました。

これで、CMになれば急いでお風呂に飛び込んでくれることでしょう。

 
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After
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トイレ、新しい便器は水の使用量が半分になっています。

5人家族ですから、当然 便器は節水タイプに交換です。

TOTOのトイレ GGシリーズです。

 

古いトイレの窓 鉄製サッシなのですが、なんかいい雰囲気です。

ということで、古いサッシはそのまま再利用しることにしました。

ちょっと遊び心で、シャンデリアのトイレにしてみました。


2 どうしてもやりたかった工事

 

2-1 LDKをDKに、キッチンは独立にする

 
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After
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もともとは、全体で14畳に相当するLDKでした。

「これだとリビングが狭いよね」そこで考えたのが、独立キッチン。

独立キッチンにした理由は、広さだけでありません。

 

・子どもが3人、毎朝忙しくて、なかなか片付かない

・大きな無垢の木のテーブルを置いて、家族の作業台にしたい

・仕事、アイロンかけ、子どもの宿題、なんでも作業テーブル

・食後もテーブルでお茶を飲み、家族で話をしていたい

 

問題は、どの場所にキッチンを移動することができるのか、ということです。

そこで考えたのが、このキッチン横にあった納戸です。

 

 

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この小屋がキッチンに変身します


 

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ごちゃごちゃの納戸を片付け キッチンに変身


増築された、簡単な掘っ建て小屋のような納戸です。

この場所に、新しいキッチンを移動させることにしました。

 
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After
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キッチンは、ママがお気に入りのクリナップ「クリンレディ」

天井も低く、コンパクトなキッチンスペースですが使い勝手はいいです。

難点は、換気扇の位置が低くて、私には使いづらい事です。

 

幸いにも、ママは145㎝なのでピッタリサイズになりました。

エアコンも取付して、夏でも揚げ物を快適に料理できます。

 

2-2 セレブようなリビングにしたい


 

独立キッチンにしたことで、リビングも広く使えることになりました。

私の会社は、元は材木屋。やっぱり、大きな木のテーブルでしょう!

 

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2.2m×1mのテーブルと、ボンボン柱時計


大人6人が余裕で座れるテーブル なんと厚み 65mm

陽の光にオレンジ色に輝る木目が、キラキラしてとてもきれいです。

 

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テレビ台とタイルの壁

 

大型テレビ置くと、その背中には大きなスペースの壁があります。

ただ白いクロスにすると、間が抜けた感じになってしまいます。

そこでゴツゴツしたタイルを張ってみました。

まるでアメリカのドラマに出てくる家のような感じになりました。

 

今、リビングは大きく模様替えをしています。

 

というのも、自宅で「米ぬか酵素風呂」を開業することになったからです。

リビングが待合となるため、店舗らしい雰囲気にイメージチェンジです。

当初からママが希望していた、真っ白なリビングに変身しました。

 

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ソファーの背中は、腰壁仕上げ

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クロスの上から、腰壁パネルを張り付けました。

これでソファーや椅子が当たっても、傷つき防止になります。

せっかくなので、貝殻仕上げのモザイクタイルで帯を作りました。

絵画の額縁によく似あいます。

 

2-3 ウッドデッキを作りたい


 

この家を買った時から、どうしても作りたかったのがウッドデッキでした。

リビングの床がウッドデッキへとつながれば、目線も広々します。

庭とリビングの間にウッドデッキがあれば、より庭を楽しめる

屋根をつければ、梅雨の雨でも庭を楽しむことができます。

 

リビングから庭を望む

リビングから庭を望む


 

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キッチンへと続く渡り廊下


リビングから和室まで、横幅10m×出幅3mの大きさで作ることにしました。

さらに、ぐるっと回ってキッチンまでつながる渡り廊下も作りました。

 

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目隠し壁&収納棚


 

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ウッドデッキの全景


 

ウッドデッキの屋根は、カーポートで作っています。

その理由は、屋根の材料が遮熱性ポリカでできているからです。

夏場に運転席が熱くならないように、屋根は遮熱素材になっているのです。

 

これにより、夏場の直射日光でリビングが熱せられるのを防止しています。

木で作る屋根だと、塗料の塗り替えも大変です。

カーポートならメンテナンスフリーなので楽ちんです。

 

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娘と制作した「真っ黒 くろすけ」


 

今回は、デッキと同時に、ウッドフェンスも作りました。

これは、道路から直接的に庭が見えないようにする目隠しです。

そしてステンドグラスをはめ込み、女性好みの玄関に作りこみました。

 

 

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道路からの目隠しです


 

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ステンドグラスをはめ込みました


 

2-4 庭をきれいにしたい


 

雑草が伸び放題の、ジャングルのような庭

あっちにも、こっちにも蚊取り線香が置いてありました。

蚊に刺されまくり、それだけで嫌になっちゃうほど刺されます。

とにかく、草取りと植木の伐採をするしかありません。

 

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左から、ビワ もみじ 松 ビワの根元には手洗い


 

ビワは、大きくなりすぎて、脚立でも手が届きません。

根も弱くグラグラなので、伐採しました。

そのまま、モミジと松も生気もないので、切った方がよさそうです。

すると、様子を見にきていた祖母がいいました。

 

「もみじ まつ 戦争でも焼けずに残ったんだよね・・」

 

こんなことを言われると、切るにしのびありません。

お手入れして、大事に育ててみることにしました。

あれから 5年。もみじ、松はこんなに元気になりました。

 

 

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元気になった もみじ 松


 

鬱蒼としていた庭は、5年かけてやっと見せられる庭になりました。

 
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After
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庭石のすべての配置が見えるように、下草を取り除き

芝生で全面を覆うことで、奥まで視線を伸ばし、広く見せました。

 

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我が家のシンボルツリー 百日紅


 

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満開になるまで、元気になった百日紅


 

玄関にはもともとあった百日紅。

今では我が家のシンボルツリーですが、当時は悪い状態でした。

根元が弱く、台風が来れば倒れてしまうような状態でした。

 

ここの庭、消毒をするたびにカナブンの死骸が百匹近くも落ちてきて

このカナブンの幼虫が、根っこを食べてしまうから、根が弱ります。

根っこの状態が回復するまでに、3年もかかるほどでした。

 

今では枝も葉も元気になり、剪定が追い付かないほどです。

 

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春には桃の花 すっかり元気になりました


 

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戦争を生き延びた松は、元気になりました


 

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気持ちのいいほどきれいな、すだれもみじ


 

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戦争を生き延びたもみじ きれいな花が咲く


 

この家に元々あった、戦争を生き延びた4本の植木はみんな元気です。

 

 ・もみじは、かわいい赤い花をつけ

 ・松は、にゅろにょろと新芽をだし

 ・桃の花、春にはピンクのお花が満開になります。

 ・百日紅 みごとなまでにピンクの花びらが舞い落ちます。

 

大切に育てたおかげで、1年間楽しむことができました。


3 構造的にできなかった工事

 

3-1 間取りは変えられません

 

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階段横の洋間 4.5畳


 

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リビング


 

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玄関ホール


 

床は解体しましたが、壁は解体できません。

見ての通り、間仕切り壁は、すべてコンクリートブロックでできています。

だから、こんなことをしたくても、できません。

 

 ・階段の位置も、横幅も変えられません。

 ・廊下の横幅も変えられません。

 ・新しく壁を壊して、窓を付けることもできません

 ・出入り口のドアの位置も変えられません

 ・天井の高さは変えられません

 

3-2 50年前は、グリッドが4.5畳の間取りです

 

間取りを変えられないことで、残念だったことがあります。

それは、間取りの基本が4.5畳のグリッドになっていることです。

現代の間取りで子ども部屋を考えると、【6畳&物入れ1畳】が基本です。

 

6畳のスペースなら、ベット&学習机&本棚を置いても、十分広いです。

それに対してこの建物は、昔の間取りになっています。

物入れは1畳、部屋は4.5畳、合わせて6畳なのです。

さすがに、4.5畳にベット&学習机&本棚だと、いっぱいです。

 

このグリッドで一番困ったのが、水回りのスペースでした。

【お風呂&洗面脱衣所&トイレ】を合わせて、4.5畳でした。

 

 ・お風呂は、絶対に1坪(2畳)にしたい

 ・洗面脱衣所は1畳、しかも化粧台も設置する

 ・洗面化粧台を置くと、実質80㎝×100㎝の脱衣スペース

 ・トイレは、80㎝×250㎝と奥に長い変わったスペースです。

 

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この写真、トイレのドアから撮っています。

それなのに、便器が小さく見えます。

普通のトイレの奥行きは、1.8mですが、このトイレは、2.7mなのです。

パズルのように考えても、どうしても奥行きの長いトイレになってしまいました。

 

そしてもっと困ったのが、洗濯機。

どこにも置く場所がなくなってしまったのです。

困った挙句に落ち着いた場所は、リビングでした。

 

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洗濯機はクローゼットなかに隠してあります


 

洗濯機

クローゼットの中には、洗濯機


 

ところが、家事の動線を考えたら、一番いい場所になっていました。

朝、朝食の準備・お弁当・洗濯機を同時進行でテキパキこなします。

毎朝3回の洗濯物、テーブルが仮置き場所であり、作業台でもあります。

まるでコインランドリーのような作業環境になっています。

 

3-3 外観は変えられません

 

コンクリートブロック造ですから、躯体の形は変えられません。

 

画像 103 P1030059 この2つの写真を見比べてください。

 

建物の躯体形状は、まったく同じまま、でも見た目は、全く別物です。

なぜこんなにも、違って見えるのでしょうか?

 

 ・玄関にタイルを張っている

 ・玄関ドアが新しくなっている

 ・塗装を新しく塗り替えている

 ・門扉が新しくなっている

 ・ウッドフェンスが作られた

 

写真に見える、植木鉢・リース・ツタの絡まったフェンスを取り除いて

スッキリと片付け、塗装するだけでも、かなりきれいになります。

 

素材である「石・タイル」&「鉄」&「木」を組み合わせると相互作用で

お互いの素材感を上手に主張してくれます。

 

鉄の門扉&タイル&ウッドフェンス さらにガラスの照明器具

最初に目に入る玄関がまとまれば、躯体の形状は関係ありません。

 

手を掛けなければ、築50年のぼろい家

手を掛けると、まるで新築のようによみがえります。

これがリノベーションの魅力です。


4 あえて残した古い物

 

4-1 鱗ガラスのスチールサッシ

 

さすがに築50年にもなると、もう手に入らない材料があります。

誰にでもわかりやすいのが、ガラスです。

この家には、魚の鱗にそっくりな凸凹したガラスがはまっていました。

見た瞬間に気に入って、この窓だけは絶対に再利用しようと決めていました。

 

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トイレのアンティークな窓



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階段のアンティークな鉄製サッシ ガラスの凸凹がはっきりわかります


 

トイレと階段には、同じ形の窓がついていました。

開き方も、「横滑り」という今はやりの開き方をしています。

はまっているガラスは、鱗のようなガラスで今では手に入りません。

開け閉めは、少し硬い動きですが、そこがまたいい感じなのです。

 

4-2 土管の雨水排水と古井戸

 

この家には、古井戸が2つもありました。

 

聞くところによると、昔、造り酒屋があった名残りだそうです。

井戸は浅い堀井戸で、水面も地面から2mほどに見える状態です。

とても生活用水には使えないので、庭の散水に使用しています。

 

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この井戸からくみ上げて利用しています



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裏通用口の井戸 手押しポンプの名残り


 

巴川の伏流水というより、浸み込んだ雨が溜まったような地下水です。

洗濯に使うと、白いワイシャツが黄ばむほど錆気のある水でした。

今は、庭の散水用にしか使い道はありません。

 

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雨水排水の受け口が土管になっている


昭和38年の家 考えてみれば私の幼少の頃の家を思い出します。

薪で沸かすお風呂がガスに、トイレが汲み取りから水洗に変わったのが

私の子ども部屋を増築した小学校3年生の頃でした。

 

昭和47年ごろだと思います。

おそらく、その当時は土管の配管が当たり前に使われていたのでしょう。

今回は配管をすべてやり変えましたが、ここだけ残しました。

 

雨水排水なので、仮に地震で割れても不都合はありません。

それなら、50年前の証拠を残した方が面白いので、再利用しました。

 

4-3 イナゴ天井

 

今では新築の家で、イナゴ天井をやる人はいません。

古臭いし、手間もかかるので、普通はクロス仕上げとなります。

それに新品で見栄えがするほどのデザインでもありません。

 

イナゴ天井

新品のイナゴ天井の施工事例


 

でも、アンティークとして見れば、価値があります。

私は古いものを経年劣化のまま再利用するのは、好きではありません。

きれいに手を入れ、魅力を引き立たせて利用しています。

 

今回は、色を黒近いこげ茶色で塗り直しをしました。

照明のオレンジ色の光が、きれいに映える色合いに仕上げました。

 

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廊下のイナゴ天井



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階段の吹き抜けとイナゴ天井


Before
After
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日本家屋の和室、ヒノキの化粧柱・見切り・長押の白木は見事です。

きれいにカンナで仕上げた白木の美しさが、和室の魅力です。

さすがに50年経っているので、茶色く焼けています。

 

それならいっそのこと、黒く塗って洋風にお色直しをしてみました。

天井、柱、廻縁、鴨居に障子まで、すべてを黒く塗りました。

すると壁の漆喰の白さと相まって、古い洋館のように雰囲気です。

 


5 リノベーションの魅力について

 

5-1 築50年の家を自慢している自分がいること

 

お客さんの驚くことが楽しい

 

米ぬか酵素風呂のお客様が、とにかく感心して頂けるのが庭です。

毎朝6時から、掃き掃除と雑草取り、芝生の剪定、水やりをやっています。

1時間弱の作業を毎日続ければ、庭はきれいに保てます。

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メジロ、キジバト、スズメ、ムクドリ、ハクセキレイが舞い降ります。

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植木には、メジロとキジバトの巣ができました。

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トンボ、蝶、クマンバチも入れ替わり飛んできます。

この様子を見るだけでも、お客様は楽しそうです。

 

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そんなお客様が一番驚くのが、築50年の家と知った時です。

「え~、そう見えない、綺麗でリビングの感じが好き!」

「リビングから庭も、落ち着いた感じで、すごくいい!」

 

こんな反応があるから、庭のお手入れも楽しくなりますし、

プチリフォームで、少しづつ素敵な空間づくりを楽しむことができます。

 

リノベーションの魅力は〔物を大切する〕を実践していることです。

 

物はこれを愛する人によって生み出され、

これを大切にする人のために働き、

これを生かす人に集まってくる。

すべて生きているからである。

 

この気持ちが理解できた時に、本当の魅力に気づかされます。

 

参考までに、「築50年に見えない」と思われたのには理由があります。

 

古臭くみせないための、3つのポイント。

 

 1 サッシを交換している

 

どんな人でも、そのサッシがいつ頃の物か、だいたい予想できます。

子どもの頃、アパート暮らしの頃、友人の家、記憶に残っています。

サッシが新しいだけで、建物が新しいと錯覚してしまうものです。

 

 2 塗装を塗り替えている

 

塗り替えすれば、どんなものでもきれいになります。

ただ1つだけ注意する事があります。

艶でテカテカした仕上げは、いかにも塗り替えたように見えてしまいます。

5分艶の塗料で、表面を凸凹に仕上げると、落ち着いた感じになります。

 

理由は、凸凹は陽の光が乱反射するので、ピカピカと反射しないからです。

だったら、完全に艶消しの塗料で塗り変えればいいのでは?と思いますよね。

 

艶消しになると、雨で汚れを洗い流す能力が落ちてしまい、汚れやすくなるし

劣化も進みやすく、逆に汚く見える傾向にあります。

 

だから、5分艶の塗料と凸凹仕上げを組み合わせています。

 

 3 ウッドデッキで、庭と建物をつないでいる

 

素材で見ると、〔コンクリートの建物〕と〔木のウッドデッキ〕と〔庭の芝生〕

色彩で見ると、〔クリーム黄色の建物〕と〔こげ茶色のデッキ〕と〔緑の芝生〕

ウッドデッキを介して、庭と建物を繋ぐから魅力が掛け合わされます。

 

ウッドデッキのこげ茶色は、クリーム色と緑のどちらにもアクセント色になり

より綺麗な色に引き立たせることになっています。

 

5-2 家で過ごす時間が増える

 

人を招きたくなる

 

リノベーションでよみがえると、人を招きたくなります。

正直、マイホームを自慢したいし、驚くほどに蘇ったことを共感して欲しいし

とにかくマイホームことを人に話したくなります。

この楽しさを最大限味わうためにも、工事前の写真はたくさん撮りましょう。

 

お餅つき大会

毎年恒例の餅つき


 

我が家では毎年恒例の行事が、夏のバーベキュー、年末の餅つきです。

 

夏休みには、子ども達の友達家族を招いて、バーベキューを楽しんでいます。

子ども達は、裸足で芝生の庭に座り、人生ゲームをして遊んでいます。

昼から始まり、夜は10時ぐらいまで20人ぐらいで楽しんでいます。

 

年末の餅つきは、みんなが楽しみにしている年末行事です。

餅つきの経験がない子ども達に、体験してもらいたくて始めました。

子ども達も大きくなり、すっかり杵を振り回せるようになりました。

 

イチゴ大福・あんころ餅・おろし餅・磯部巻 つきたてのお餅を頬張り

鏡餅に伸し餅をワイワイ騒いで造り、品評会で楽しみます。

夜はバーベキューを楽しみながらの宴会が始まります。

20人ぐらいの宴会では、手作りの酒の肴、デザートと盛りだくさん。

夜の10時過ぎまで楽しんで、年末の厄払いも終わります。

 

週末はほとんど家にいる

 

週末のほとんどは、庭のお手入れ、家の掃除とやることがいっぱいです。

庭のお手入れは、毎朝6時から1時間の作業を日課にして維持しています。

消毒は月に1回、芝刈りは月に2回、雑草取りに掃き掃除は毎日の作業です。

ウッドデッキは、月に1回は洗浄し、2か月に1度は塗り替えです。

 

我が家は普段からお客さんが多いので、常にきれいにすることを心がけていて

特にリフォーム会社なのに、家が雑然としているのは恥ずかしいことです。

いつでも掃除が行き届いているお寺のように維持するのが目標です。

 

そうするとこんなこともあります。

たまには同級生で飲みに行こうよ!となり、どこにする?となります。

すると「林の家で、持ち寄って、飲めばいいじゃん!」との一言で

我が家で飲み会が始まりまります。

夜も更け、友人の奥様達がお迎えに来ると、奥様も混ざって

しばしの女子会が始まり、1時間後にお開きとなります。

 

こんな日常なので、毎朝のお手入れが欠かせないのです。

 

夫婦で一緒にいることが多くなった

 

今では、夫婦お互いの友人が、共有の友人となったことで会話が増えました。

子ども達と、その友人、部活や学校の話題が食卓を囲みます。

ママがいなくても、子どもの学校のママ友と話すことも多くなりました。

 

今まで自分の友人と飲み会しても、ママが話題に出ることはありませんでした。

ところが、今では話題に上がることもよくあります。

 

こんなことで、週末はいつも2人で一緒にいる時間が増えました。